細胞内寄生性細菌であるクラミジアは、上皮細胞などの感染細胞内で封入体を形成しリソゾームによる殺菌機構からエスケープする。また、インターフェロンガンマや抗菌剤により非定型的な網状体となり、宿主細胞内で遷延性、持続性感染症を呈するようになる。従つてクラミジア感染症の排除には、MHCクラスI拘束性のCD8キラーT細胞の誘導が極めて重要と考えられる。そこで、昨年度、クラミジア膜蛋白、分泌蛋白特異的CD8陽性T細胞を誘導するために、ユビキチン融合DNAワクチン構築を行った。本年度は、ユビキチン融合DNAワクチンの効果について検討を行った。その結果、マウスに遺伝子銃を用いたDNAワクチンを行い、その後Chlamydia muridarumの経鼻感染を行うと、対照群に対して有為に体重減少の減少が認められた。またその際の、臓器内の菌数について解析を行ったにおいても、肺あるいは肝臓において有為に菌数の減少が認められた。以上からユビキチン融合DNAワクチンによるクラミジアに対するワクチン効果が認められた。次に誘導されるワクチン効果について解析を行った結果、CD8陽性T細胞によるクラミジア抗原特異的な細胞傷害性活性の誘導が認められた。また、感染後、早期にCD8陽性T細胞がインターフェロンガンマを産生していることが認められた。よってユビキチン融合DNAワクチンによりクラミジア特異的なCD8性T細胞の活性化が認められ、そのことによってクラミジアに対する防御免疫が賦与されたと考えられる。
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