研究課題
若手研究(B)
(1)劇症型溶連菌感染症臨床分離株と咽頭炎患者分離株のゲノムの比較分子疫学上クローナルである劇症型溶連菌感染症臨床分離株NIH1と咽頭炎患者分離株患者K33のゲノムを比較するため、それぞれのゲノムDNAを抽出し、一塩基多型解析(SNPs解析)を行う。それぞれの株におけるゲノムの塩基配列の違いを見出し、リシークエンスによりゲノム上の塩基配列の違いを決定する。K33株とNIH1株のゲノムで塩基配列の異なった遺伝子を選択し、これらの遺伝子の塩基配列を、csrS遺伝子に変異が起こっていない劇症型溶連菌感染症分離株4株と咽頭炎患者分離株4株で決定し、比較する。劇症型溶連菌感染症臨床分離株に特異的に変異の見られる遺伝子(A遺伝子)を選択する。このA遺伝子が、特定の毒素タンパク質の分泌量の増加に影響を与えているか調べるため、劇症型溶連菌感染症臨床分離株に咽頭炎患者分離株由来のintactのA遺伝子を導入した株、および、咽頭炎患者分離株のゲノム上に存在するA遺伝子を変異させた株を作製し、分泌タンパク質を抽出し、毒素タンパク質の分泌量を調べる。劇症型溶連菌感染症臨床分離株にintactのA遺伝子を導入することにより、分泌タンパク質の泳動パターンが咽頭炎患者分離株のパターンと同じになり、咽頭炎患者分離株のA遺伝子を変異させることにより、分泌タンパク質の泳動パターンが劇症型溶連菌感染症臨床分離株のパターンと同じになることを確認する。(2)in vivoにおけるA遺伝子の変異の影響A遺伝子の変異が、in vivoで病原性に影響を与えるか調べるため、マウスをもちいた動物実験を行う。マウスに対する致死性、各臓器の病理組織を調べる。(3)A遺伝子変異における病原性遺伝子の発現の影響劇症型溶連菌感染症臨床分離株、咽頭炎患者分離株、劇症型溶連菌感染症臨床分離株にintactのA遺伝子を導入した相補株、咽頭炎患者分離株のA遺伝子変異株のRNAを抽出し、RT-PCRを行う。咽頭炎患者分離株の発現量より劇症型溶連菌感染症臨床分離株、および咽頭炎患者分離株のA遺伝子変異株の発現量が高く、intactのA遺伝子を劇症型溶連菌感染症臨床分離株に導入した相補株でその発現量の上昇が打ち消させるものを選択し、これらの遺伝子をA遺伝子により制御されている遺伝子群として同定する。(4)劇症型溶連菌感染症に関与する病原性遺伝子の探索劇症型溶連菌感染症に関与する病原性遺伝子を検索するため、A遺伝子あるいは、csrR/csrS遺伝子に変異の見られる株に特異的に発現の上昇がみられる毒素遺伝子を同定する。これらのタンパク質について、遺伝子破壊株を作製する。作製した破壊株を用いて、マウスを用いた動物実験、あるいは、さまざまな細胞を用いた感染実験を行い、病原性遺伝子の同定、およびその機能を明らかにする。
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