研究概要 |
腸管出血性大腸菌(EHEC)のゲノムにコードされるGrlA蛋白質は,複数の病原因子の発現制御に関与しており,III型蛋白質分泌系およびエンテロヘモリシンの発現を活性化する一方で,鞭毛の発現を抑制する。これまでの予備的な研究から,GrlAは核様体蛋白質Hhaを介して病原因子の発現をコントロールすることが示唆されている。本年度はGrlAのHhaに対する作用機構について解析した。まず,GrlAのHha発現におよぼす影響を調べるために,染色体上にhha::FLAG融合遺伝子を構築し,その融合蛋白質の発現解析を行った。しかしながら,GrlAを欠損させてもHha::FLAGの発現量に有意な変化はみられなかった(GrlAを大量発現させた場合も同様であった)。さらに,GrlAとHhaの相互作用をbacterial two-hybrid systemもしくはpull-down法を用いて解析したものの,両者の結合を検出することができなかった。以上の結果より,GrlAのHhaに対する作用は間接的なものであることが示唆された。
|