研究課題
我々はインフルエンザAウイルス感染後、肺局所および血中においてオステオポンチン(Opn)が著しく発現上昇することを見いだした。このことからインフルエンザAウイルス感染防御免疫応答におけるOpnの機能を解析することを目的として、まずOpn欠損マウスにインフルエンザAウイルスx31(H3N2型)を低濃度の1×10^3pfu/匹で経鼻感染させた。感染後、Opn欠損マウスにおける体重減少は野生型マウスと同様に7日目をピークに約30%程度の減少を認め、その後回復した。x31特異的IgG抗体の産生においても野生型マウスおよびOpn欠損マウス間で差は認められなかった。次に感染後9日目に脾臓および肺胞洗浄液(BALF)を回収し、ウイルス抗原特異的CD8^+T細胞の数5をテトラマー染色により解析した。その結果、野生型マウスおよびOpn欠損マウス間でウイルス抗原特異的CD8^+T細胞の数に差は認められなかった。またBALF中の好中球、マクロファージ、CD4^+T細胞の数にも両者で差は認められなかった。これらの結果より、x31の低濃度での感染に対する一次免疫応答において、Opnは重要な役割を果たしていないことが示唆された。次に我々はインフルエンザAウイルス抗原特異的メモリーCD8^+T細胞形成におけるOpnの役割を解析するために、x31感染後60日目に脾臓を回収し、テトラマー染色およびIFN-γの細胞内染色を行った。その結果Opn欠損マウスでは野生型マウスと比較してウイルス抗原特異的CD8^+T細胞およびIFN-γ産生CD8^+T細胞の数が増加する傾向にあった。現在我々はOpn欠損マウスで認められたインフルエンザAウイルス抗原特異断メモリーCD8^+T細胞の増加が二次免疫応答に及ぼす影響を解析しているところである。
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