我々は前年度にインフルエンザAウイルスの感染に伴って、1)野生型マウスの肺および血中でオステオポンチン(0pn)の発現が著しく上昇する、2)0pn遺伝子欠損マウスは野生型マウスと同等の一次免疫応答を誘導する、3)0pn遺伝子欠損マウスではウイルス抗原特異的メモリーCD8^+T細胞の数が野生型マウスと比較して有意に増加していることを見いだしていた。今年度我々は、0pn遺伝子欠損マウス内でインフルエンザAウイルス感染に伴い誘導されたウイルス抗原特異的メモリーCD8^+T細胞の機能解析を中心に行った。まず0pn遺伝子欠損マウスで誘導されたウイルス抗原特異的メモリーCD8^+T細胞(0pn^<-/->メモリーCD8^+T細胞)が機能的であるかどうかをIFN-γの産生および細胞分裂能を指標にして解析を行った。0pn^<-/->メモリーCD8^+T細胞はウイルス抗原のin vitroでの刺激に対して、0pn^<+/+>メモリーCD8^+T細胞と同等のIFN-γ産生能力を示した。さらにウイルス抗原刺激に対する細胞分裂能も0pn^<+/+>メモリーCD8^+T細胞と同等であった。これらの結果より0pn欠損マウスにおいてインフルエンザAウイルスの感染により誘導されたメモリーCD8^+T細胞は機能的であることが明らかとなった。0pn欠損マウスではウイルス抗原特異的メモリーCD8^+T細胞の数が増加していること、さらにはこれらのメモリー細胞がin vitroで機能的であることから、次に0pn欠損マウスにおける二次免疫応答の解析を行った。一次感染から約60日後にインフルエンザAウイルスで二次感染を行った。二次感染後3日目に肺を採取し、プラークアッセイを行った結果、0pn欠損マウスでは野生型マウスと比較してウイルスtiterが減少していた。このことから0pn欠損マウスではメモリーCD8^+T細胞の数が野生型マウスと比較して多いことから、強い二次免疫応答が誘導できたと考えられた。
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