研究概要 |
(1) 基本モデルの樹立方法 本研究では、同一病原体(抗原)の反復感染において抗原特異的CTLが感染(抗原)刺激を受けた回数を明確に区別するために、コンジェニックマーカーで区別できるT細胞受容体トランスジェニック(TCR Tg)細胞を養子移入して、レシピエントマウスに抗原を発現する遺伝子組換え感染因子を接種して免疫応答の解析を行う。具体的には、卵白アルブミン(OVA)特異的TCR TgであるOT-Iマウスから脾細胞を分離調整し野生型マウスに養子移入する。養子移入した翌日にOVA発現組換えリステリア菌(LM-OVA)を尾静注して免疫後40-50目以上経過してメモリー期にいたったところで、マウス脾細胞からコンジェニックマーカー(Ly5.1)を用いてmemory CTLのみ分離した。分離したmemory CTLは一部を次のレシピエントマウスに養子移入し、翌日にLM-OVAを感染させた。この養子移入と感染刺激を連続して繰り返すことにより、1回感染応答を経験した一次memory CTL、2回経験した二次memory CTL、3回経験した三次memory CTLを樹立した。老化したmemory CTLを養子移入する際に、若いmemory CTLを少量混合し、次の感染刺激を加えた際に若いmemory CTLが老化したmemory CTLを凌駕する状態を作出した。これにより分裂応答能が減弱した老化memory CTLを安定的に作出し、種々の解析が可能なモデルを作成した。 (2) 遺伝子発現解析によるmemory CTL老化現象の解析(新規マーカーの探索を含む) 一次、二次、三次memory CTLを分取し、遺伝子発現解析に着手した。この遺伝子解析は、研究代表者が所属する東京大学分子予防医学研究室にて開発されたSAGE(Serial Analysis of Gene Expression)法(Nature Biotechnology, 2004)と次世代高速シークエンサーを利用している。
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