研究課題
平成20年度は、主として、Super Th1細胞が産生するサイトカインIL-13の、遺伝子発現動態とその発現に関わる責任分子候補の選定を行った。まず、本研究遂行に最適なin vitroでのSuper Th1細胞誘導実験系を確立した。この実験系において分化誘導されたTh1細胞は、抗CD3抗体+IL-2+IL-18で再刺激すると、抗CD3抗体+IL-2で再刺激した時には見られないIFN-γとIL-13の同時産生を示した。又、real-time PCR法によって、そのIL-13産生は転写レベルで制御されていること、そしてIl13発現は再刺激後徐々に増強していき72時間くらいで発現のピークに達することが明らかになった。Th2細胞において、master regulator分子Gata3がIl13発現に重要な役割を演じることが報告されている。そこで上記実験系を用いて、再刺激後のSuper Th1細胞におけるGata3発現を検討した。Gata3の発現はIl13発現と同様に、再刺激後徐々に増加していくことが観察された。Th2細胞において、Gata3発現はStat6に依存していることが知られている。そこでStat6欠損マウスを用いて、Super Th1細胞におけるGata3、Il13両遺伝子の発現にStat6が必要であるかを検討した。予想された通り、Stat6欠損Super Th1細胞では、Gata3の発現とともに、Il13の発現も著名に減少していた。しかしながら、Th1細胞のhallmark cytokineであるIFN-γ産生には、野生型とStat6欠損細胞の間で差は見られなかった。これらのことより、Super Th1細胞において再刺激後Stat6を介したGata3の誘導がおこなわれ、このGata3がIL-13産生といったSuper Th1細胞のサイトカイン産生の特異性の発現に重要な役割を演じている可能性が示唆された。
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Nature Immunology (in press)