高齢者の生活にとって、身だしなみを整えること(整容)は重要である。日常的に身だしなみを整えておくことは、生活のリズムの形成、社交性や活動性の維持・向上に寄与する。本研究は、その期間内(3年間)に、病院や高齢者介護施設における標準的整容・美容ケアマネジメント法を開発することを目的としている。平成20年度からの3年間で、整容・美容に関するケア評価票(美容カルテ)と具体的で分かりやすいケアサービス計画案の作成を行い、それらを用いた教育の効果を検証する予定となっている。平成20年度には、既存の代表的なケア評価票を精査し、これを基に美容カルテを作成することを計画して研究を進めてきた。平成21年度には、その美容カルテのひとつ一つの項目(ニーズ)に対応したケアプラン例を網羅的に作成し、美容ガイドとして完成させた。この美容ガイドは、理美容師及び看護・介護職員の特に初学者を対象としたもので、これを用いることで標準的な整容・美容ケアを行うことができるものと期待する。また、これは、理美容師及び看護・介護職員の知識・態度・習慣・技能を測定するためのチェックリストの作成にも役立てることができる。現在、研究協力団体である特定非営利活動法人全国福祉理美容師養成協会が主催する訪問理美容師養成講座の参加者に試用してもらい、問題点を抽出している。また、平成22年度に向けて、複数の高齢者介護施設の看護・介護職員を対象に美容カルテと美容ガイドに関する教育を行い、その効果の判定を行うためのEラーニングシステムを構築中である。
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