本研究は、医療従事者が職場を選択する際、どのような項目(条件)をどの程度(相対的に)重視するか、選好の構造を分析する研究である。そこで2008年度は、医療従事者の職場選好に影響を与える項目に関して網羅的に把握することを目的とした。具体的には、先行研究や関連文献のレビュー、医療従事者へのインタビューを実施した。 その結果、選好に影響を与える項目として、「待遇」に関する内容、「医療機関属性」に関する内容、「職場環境・組織文化」に関する内容が挙げられた。待遇に関しては、「給与」「仕事の強度や勤務時間等のワークロード(総労働時間、夜間や休日の労働時間・回数)」「プロとしての成長(研修・学会への参加)の機会・サポートの有無」「就業形態」が、医療機関属性に関しては、「立地」「規模」「開設主体」が、職場環境・組織文化に関しては、「職場における自己の責任範囲の明確の程度」「業務上の判断に対する周囲のサポート・尊重の有無」が項目として把握された。また、選好に関しては個人の属性も大きく関与するが、その項目として「性別」「年齢」「家族構成(婚姻状況、養育者の有無)」「収入(個人・世帯)」「自己健康観、ストレスの状況」「勤務年数(総勤務年数、現在の医療機関での勤務年数)」「離職経験の有無」「職種」「診療科・病棟」「勤務形態(常勤・非常勤)」「現在の医療機関の立地・規模」が把握された。 次年度は質問紙作成に向け、これらの項目の整理やそれぞれの項目に関する水準の検討を実施する予定である。
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