今日、後期高齢者の重度要認定者の増加に伴い、居宅サービスに伴う家族介護者の負担も大きくなってきている。そして、家族介護者に対する心身機能を維持・安定させることも居宅生活を支える重要なポイントである。特に、昼間帯よりも夜間帯での介護は、介護者の生活リズムを崩し、介護疲労をもたらす原因となっている。筆者らは、ヒトの発話音声からそのヒトの身体的な疲労度を客観的に評価する手法について検討してきた。今回、発話音声の時系列信号を用いて、非侵襲的で簡便、かつ客観的な疲労程度の評価ツールの信頼性を再検討しおよび日内周期について検討することすることを目的とする。 対象者は男性8名とし、本研究の趣旨に同意し健康上問題なく定期的に内服を行っていないものとした。方法は、被験者に、2日間(1日目朝昼夕、2日目朝昼夕)にわたり計6回(再テスト法)、(1)VAS(Visual analog scale)、(2)唾液アミラーゼ量(Am)、(3)フリッカーテスト(CFF)、(4)自律神経評価(HF、LF/HF)(5)朗読音声録音を行い、測定の不備があったものを除く合計44サンプルからてて解析を行った。朗読音声については音声カオス解析ソフトを使用し、採取したデータから数値データ(音声指数)に変換した。 VAS、Am、CFF、音声指数のそれぞれの信頼性係数0.68、0.73、0.77、0.85であり、音声指数の信頼性は高かった。また、日内変動についてはどの項目においても変動はあるものの特徴的な有意な変動は認められなかった。また、音声指数とVAS、Am、CFF、及びHF、LF/HFとの間に、有意な相関関係は認められなかった。
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