研究概要 |
総合的判断能力の教育法の実践 Team-based learning (TBL)はテスト,討論,講義を組み合わせ,推論能力を培うための教育方法である.東京女子医科大学では第4学年を対象に,TBLを平成20年度~平成22年度に実施した.平成22年度は11月と12月に一課題を4セッション実施し,2課題(計8回)の臨床推論PBLを実施した.実施後のアンケートでは,グループ学習における記憶の定着度が,自己学習に比べ高いと評価した学生がコメントした.また理論的に考える訓練であると評価した学生がいた.TBLによる臨床推論能力を獲得したことを明らかにするため,Problem-solving ability test (P-SAT)によって,TBL学習群(平成2010年度)とTBL非学習群(2005年度)間における平均点を比較した.TBL学習群の平均点は,非学習群のそれに比べ有意に高かった.TBLを実施したことで,学生の臨床推論思考が活性化され,P-SATの平均点が上昇したと考えられる.また.臨床推論能力は,記憶された事象の中から仮説の棄却を繰り返し結論に到達する.そのためTBL形式が臨床推論能力を向上させる要因の一つに,個人学習から集団学習による記憶の定着が考えられる.TBLの臨床推論能力向上の要因を解明することさらに必要だろう.
|