研究課題
STZ投与により糖尿病を誘発後、telmisartan(5mg/kg/day)、pioglitazone(3mg/kg/day)、bezafibrate(10mg/kg/day)を4週間投与した。本投与量での各薬物の投与は覚醒下平均動脈圧とIVGTTにより評価した耐糖能に影響を与えなかった。これら薬物の投与は糖尿病ラットの胸部大動脈組織において、主たる活性酸素種産生源と報告されているNADPH oxidase(p47phox)や接着分子VCAM-1、走化性因子MCP-1のmRNA発現増大を有意に改善することを確認した(P<0.05)。動脈硬化進展のあらゆる段階での関与が示唆されているosteopontinの発現については、telmisartanとpioglitazoneで抑制されたが、bezafibrateによる改善効果は認められず、PPARγ活性の有無に依存した結果と考えられた。また、腎障害に加え血管障害との関連が重要視されている尿蛋白もtelmisartanは抑制し(糖尿病群 ; 127±10mg/kg/day vs. telmisartan群 ; 99±8.4mg/kg/day : P<0.05)、さらに糖尿病ラットにおけるCCrの低下(コントロール群 ; 1.5士0.1ml/min vs. 糖尿病群 ; 1.0±0.1ml/min)も改善した(telmisartan群 ; 1.3±0.1ml/min : P<0.05)。さらに、これらのtelmisartanによる尿蛋白改善、血管組織における抗酸化・抗炎症作用は、対照として投与したlosartan投与時よりも強く、telmisartanによるアンジオテンシンII受容体拮抗作用に加え、PPARγ活性化作用による組織保護効果の可能性が示唆され、メタボリックシンドローム治療における本薬物の有用性が示された。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
European Journal of Pharmacology 589(1-3)
ページ: 264-271
Hypertension Research 31(2)
ページ: 363-375