研究課題
ラットの胸部大動脈組織からexplant法にて、単離・培養した。血管内皮細胞にH_2O_2(1mmol/l)を6時間負荷した。その後、血管内皮細胞からRNAを抽出し、血管組織での主たる活性酸素種の産生源と報告されているNADPH oxidase(p47phox)、走化性因子MCP-1、接着分子ICAM-1のmRNA発現をRT-PCR法にて検討した。H_2O_2負荷によりp47phox、MCP-1、ICAM-1のmRNA発現は増大したが、H_2O_2負荷の1時間前からテルミサルタン(50μmol/l)を前処置すると、これらの分子の発現増大は有意に改善されることを確認し、テルミサルタンによる抗酸化・抗炎症作用を確認することができた。一方、これらの改善効果はロサルタン(50μmol/l)投与群では殆ど認められなかったため、テルミサルタンによる血管内皮保護効果にPPAR_γを介している可能性が示唆された。また、PPAR_γ阻害薬であるGW9662(5μg/ml)をテルミサルタン処置のさらに30分前から投与すると、テルミサルタンによるNADPH oxidase、MCP-1、ICAM-1の発現抑制作用が消失し、血管内皮細胞においてテルミサルタンはPPAR_γを介して抗酸化作用、抗炎症作用を発揮することを示すことができた。本検討によりテルミサルタンによるアンジオテンシンII受容体拮抗作用に加え、PPAR_γ刺激による血管内皮細胞保護効果の可能性が示唆され、動脈硬化の初期病変である内皮機能障害に対するテルミサルタンの有用性が示唆された。
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Cardiovascular Research (in press)
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