研究の目的 近年、DNA異常メチル化に代表される、エピジェネティックな遺伝子異常と疾病発症との関連が注目を集めているが、その発展は特に癌研究の分野において顕著であり、発癌メカニズムの一端を担うものとして新たな発見が相次いでいる。DNA異常メチル化は葉酸代謝と関係が深く、飲酒や栄養摂取など、生活習慣との関連においてもその重要性が認識されつつあり、本研究は、文部科学省科学研究費による大規模コホート研究の保存血清を利用し、発癌および生活習慣と血清DNA異常メチル化の関係を明らかにすることを目的としている。 平成20年度の研究実績 昨年夏に住民に対し郵送による説明を行い同意を得た、206検体の保存血清200μ1から、200μ1の溶液としてDNAを抽出した。これは、血清を有する全対象者の約50%ほどであった。血清DNA抽出キットにはQiagen社によるものを使用した。抽出されたDNAに対しbisulfite処理を行い、メチル化を受けていないシトシンをウラシルに変換し、さらにメチル化および非メチル化特異的プライマーを用いたPCR法を行いPyrosequensing法により定量的なメチル化解析を行った。これまでのところ、全ゲノムの約17%を占めるLINE1に関するメチル化解析を終えている。今後生活習慣などとの関連を分析していく。 発展的な研究として、MCA(Methylated CpG island Amplification)法やCpGアイランドマイクロアレイ(Agilent社)を行うことで、ゲノムワイドな異常メチル化や網羅的な遺伝子メチル化解析を行っていくことも可能と考えている。
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