本研究の目的は、わが国におけるHIV感染者数・AIDS患者数の推計・将来予測である。2年計画の1年目である平成20年度の計画は、基礎的な検討のための文献の収集、推計の基礎となる資料の収集、現状のHIV/AIDS患者数の検討の3つであった。文献の収集としては、我が国のHIV/AIDS感染者・患者数を推計したものや他国におけるHIV/AIDSの推計などの文献や、推計の方法に関連して、我が国における他の疾患の推計や推計の方法論の論文など、HIV/AIDSの状況に関するものとしては、小地域における実態調査や治療成績などの文献を収集した。推計の基礎となる資料の収集では、平成19年までの日本におけるHIV/AIDS患者数の推計を実施するための、推計の基礎データを収集した。エイズ発生動向調査からは、平成19年までの国籍別、性別、感染経路別、年齢別、感染地域別の報告数のデータを得た。このほか、人口動態統計のエイズによる死亡数などを収集した。現状のHIV/AIDS患者数の検討としては、推計方法についての検討を行った。推計の方法としては、エイズ発生動向調査における報告数を基礎として、未報告の程度(捕捉率)や死亡状況を勘案し、先行研究の方法を下敷きとした回帰モデルを適用して検討した。平成20年度の成果を基礎として、平成21年度にはHIV感染者数・AIDS患者数の将来予測を実施する計画である。以上により、当初の研究目的をおおよそ達成したものと考える。
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