プロポリスは、その多様な生理活性と広範な用途性から、近年、代替医療への使用に高い支持を得ている健康食品の一つである。一方、ウイルス感染症は、免疫機能の低下や亢進が、原因ウイルスの増殖に影響し、発熱や疼痛といった様々な防御すべき生体シグナルを生みだす疾患の一つである。本研究は、こうしたウイルス感染症の予防・改善に効果を有するプロポリスを見出すために様々な生体シグナルを加味した実験、すなわち動物レベルにおいて、それらプロポリスの新たな有用性を見出すことを目的とした。 培養細胞を用いた実験から、プロポリスの1種に免疫賦活作用を有し、ウイルス感染症に対して予防効果が期待されるプロポリスを見出した。一方、これまでに致死系マウスモデルで強いウイルス感染症への改善効果を持ち、ウィルス増殖の抑制効果を有したプロポリスの免疫系への関与と比較したところ、異なる影響が見出された。免疫系での働きに差異が見出される週齢差(4週齢および6ヶ月以降)および種差のあるマウスを用いて、プロポリスのインフルエンザウイルス感染症に対する改善効果を検討したが、感染に伴う経時的な病態変化(体重の増減、生存率)については大きな影響が見られなかった。 これらの結果から、インフルエンザウィルス感染症に対して、ウイルス増殖抑制作用のみならず、免疫賦活作用から改善効果が期待できるプロポリスの発見とその有効性を見出した。これらは、プロポリスの代替医療に利用可能な新たな有効性と用途を見出すものとなった。動物モデルでのこれら2つのプロポリスのウイルス感染に対する改善効果は明らかに認められなかったものの、免疫系の関与が考慮されにくい致死系モデルでの結果を一部示唆した。
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