本年度は、若齢期における農薬の経口曝露がアトピー性皮膚炎に及ぼす影響について検討することを目的とし、アトピー素因を有するNC/NgaTndCrljマウス(以下NC/Nga)を用いて、農薬の低用量曝露による影響を評価した。対象物質として、γ-BHCとMalathionを選択した。いずれも、実際の曝露経路を想定し、経口投与とした。 NC/Nga(雌雄、5週齢)の右耳介腹側に、1-2日おきに、ダニアレルゲン(Dp)を計8回皮内投与し(5μg/10μL)、アトピー性皮膚炎様の病態を形成させた。農薬類は、感作6日前より週1回、計4回経口投与した。皮膚炎病態の変化は、Dp投与24時間後に、(1)症状変化のスコア化(Dp投与24時間後、4徴候[乾燥肌、発疹、掻爬傷、浮腫]、4段階[0:無し、1:軽度、2:中程度、3:重度]で毎回評価し、点数化する。満点は12点)、(2)耳介厚の測定(耳介腫脹の指標)により評価した。 1) 対照群(生理食塩水+農薬の溶解に用いた溶媒のみ) 6匹 2) Dp+農薬の溶解に用いた溶媒投与群 6匹 3)-5) Dp+農薬投与群(農薬の濃度は3段階設定) 6匹 今回選択したγ-BHCとMalathionのいずれにおいても、雌雄ともに顕著な皮膚炎病態への影響は認められなかった。
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