平成22年の成果として、開発版ではあるが入力を行えば、70%以上の20歳代大学生であれば推定量としての数値が算出できるソフトウェアは形成できた。しかし、推定値の精度が低いという欠点が研究期間内に残された。本年まで延長、継続収集された医学部生360名(男277名、女83名)の24時間食事記録の分析から、摂取栄養素量(三大栄養素の摂取量、エネルギー摂取量、鉄・マグネシウム・鉛・ビタミン類等)と摂取頻度調査の結果を関連させて推定モデルの策定を行った。主に摂取頻度から重回帰モデルを使用して摂取量の推定モデルを設置した。得られたモデルの推定量はモデル中には有意な係数を散見するもの回帰係数0.2-0.3と個人の推計材料として使用できなかった。 付随する成果として、本研究におけるソフトウェア開発の障害事項が明らかになった。成果(1)24時間思い出し法による食事記録の精度が高くても、3日では習慣的摂取量と対応不十分なこと。成果(2)多様な外食に対応するには数社のファーストフード・コンビニの商品目・メニュー把握では関連が不十分なこと。成果(3)習慣的な頻度調査の時に被験者がPCの画像を集中できないこと。 (1)について、一般的に食事記録の24時間思出し法は有効な手段だが、特に男性に多く、極端に大エネルギー量を摂取した日や逆に朝昼食欠食のため500kcal以下の日があり推定結果を歪めた。日の採用が重要と判明した。(2)には市中食堂等の定量が不安定で一食1500kcalを超えるエネルギーを供給する食事があり、頻度設定されていない食事として影響する。成果(3)についてはソフトウェアのインターフェースの改善が重要であることがわかった。近年のPC、携帯情報端末が普及し、小画面で効率表示するデザイン技術が先行しており、140項目以上の質問項目を出すには視覚的配慮が必要と判明した。 本研究において計画した摂取頻度調査ソフトウェアを開発したことは大きな成果であった。外食依存の若年者の栄養摂取頻度からの推定には上記3つの問題が障害となり課題として残った。
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