2007年11月から2008年2月に実施済みの沖縄県宜野湾市在住の超高齢197人を対象とした生活習慣および血清中栄養素に関する調査(Linus Pauling Institute at Oregon State Universityからの研究助成金による)をベースラインとし、身体的機能や認知機能調査のフォローアップ調査を2008年11月から2009年3月に実施した。ベースライン調査において健康診断および面接調査両方に参加し、臨床痴呆評価尺度が0.5以下であった193人のうち、2007年度フォローアップ調査に参加した人は137人(男性36人、女性101人)であった(フォローアップできなかった55人の内訳 : 拒絶46人、入院7人、引っ越し1人、連絡取れず1人、疲労のため途中で調査中止1人)。 今回解析対象となった137人のうち、ベースライン調査において血漿ホモシステイン濃度が高い人は男性22.2%、女性30.7%であった(基準値 : 男性>16.9umol/L、女性>12.2umol/L)。Mini-Mental State Examination(MMSE)スコアの1年後の変化をホモシステイン濃度の高いグループ(高ホモシステイン血症群)と基準内のグループ(標準群)を比較すると、標準群ではMMSEのスコアが平均0.72上昇したのに対して、高ホモシステイン血症群は0.12減少した。P値が0.151であったので有意な差ではなかったが、ホモシステイン濃度が高いと1年後のMMSEスコアが低下する傾向が見られた。ベースライン時の中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロールに関しては、1年後のMMSEスコアの変化には関連が見られなかった。血漿ホモシステイン濃度は認知機能低下に関連していることが示唆されるので、2008年度調査において2年後の認知機能の変化を調べるとともに、高ホモシステイン血症と認知機能との因果関係を検討していく予定である。
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