地域一般住民におけるメタボリックシンドローム(以下MetS)、高感度CRP(以下hsCRP)と尿中微量アルブミンとの関連について検討を行った。壮瞥町住民健診受診者722名のうち高血圧、糖尿病、脂質異常症にて治療中の者を除いた303名を解析対象とした。わが国の診断基準に基づいてMetsを判定し、hsCRPに関しては中央値で高hsCRPと低hsCRPと判定した。また随時尿における尿中アルブミン・クレアチニン比≧30mg/g・Crを微量アルブミン尿陽性と判定した。対象をMetS非該当で低hsCRPの正常群、MetS単独群、高hcCRP単独群、MetS+高hsCRP群の4群に分けて、微量アルブミン尿陽性との関連についてロジスティック回帰分析を用いて検討を行った。 正常群での微量アルブミン尿の頻度が6.2%に対してMetS単独群で25%、高hsCRP単独群で12.8%、MetS+高hsCRP群で27.8%であった。微量アルブミン尿陽性を従属変数としたロジスティック回帰分析を行うと、年齢、性別、喫煙、収縮期血圧値、血糖値、総コレステロール値、クレアチニン値で調整後のオッズ比は、正常群を対照群としてMetS単独群のオッズ比は5.80(95%CI:0.86-39.13)、高hsCRP単独群では2.70(95%CI:0.99-7.28)、MetS+高hSCRPでは6.58(95%CI:1.34-32.08)であった。 今回の検討より、MetSに該当しさらにhsCRPが高値を示すものが、腹部肥満単独やMetS単独、高hsCRP単独よりも、全身の血管内皮機能異常を反映している微量アルブミン尿に対するハイリスク者であることが示され、MetSに高感度CRPをみ合わせることによって特定健診・特定保健指導においても動脈硬化性疾患に対するハイリスク者の効果的な抽出・指導に役立つ可能性が示唆された。
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