研究概要 |
平成20年度は, 福島高血圧研究会の会員に本研究について紹介し参加を呼びかけた. その結果, 44名の会員から参加の同意が得られた. 9月よりベースライン調査を開始し, 12月末までに約1, 600名の高血圧患者に関する転記情報約1, 400名分の患者アンケート情報が収集できた. これら対象患者のデータについて外部委託により入力を行い4月末までに入力は終了している. また, 第1回追跡調査については, 3月に調査票の発送を終えている. 本研究の基盤になった「Fukushima Research of Hypertension(FRESH)」については, ベースライン調査を国際高血圧学会(ドイツ連邦共和国, ベルリン市)、追跡調査を日本高血圧学会総会(札幌市)で報告した. 同研究は, 地域で高血圧患者の降圧目標の達成状況を通年で明らかにした日本で初めての報告であることを強調し, 糖尿病や腎障害患者, またそれらの基礎疾患を合併しない65歳未満の高血圧患者の通年での達成率が低いことが明らかにした. これらから, 生活習慣の見直しと適切な体重管理、家族歴の評価は, 高血圧診療を向上させる上で重要であることが示された. また, 動脈硬化関連の合併症を有することが降圧目標値未達成の予防的要因であったことから, 合併症の発見がより厳格な血圧管理の契機となったと推測されるが、これらの合併症を発症する前からより良い管理を行うことが必要であると考える.
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