研究概要 |
本研究は、いわゆる「ひきこもり」に対するグループ支援活動の機能・構造および効果について、質的研究を用いて情報の整理を行い、質の高い支援を行うための要件を明らかにすることにある。ひきこもり支援においては、本人と社会の間の中間領域として「フリースペース」「居場所」や「デイケア活動」などを設定することが、支援のアプローチの一つとして有効であろうことが、各種の実践活動や、筆者も作成に携わった「ひきこもりガイドライン」で示されている(伊藤ら,2003)。そこで本研究では、実際のグループの運営者にインタビューを行い・グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて質的に分析をすることで、テーマに関しての回答を類型化するとともに、質の高い支援を行うための要件として共有されうると思われる共通項を抽出する。それをもって、ひきこもりグループ支援の方法論における一定のスタンダード作りの基盤とすることを目指す。 平成20年8月~平成21年2月までの間に12人の支援者にインタビューを行った。インタビューは録音後・文字情報に起こし、グラウンデッドセオリーを行いながら分析した。なお、調査対象は、概念の整理と共に理論的飽和に達するまで協力を依頼、収集された。 分析の結果、プログラムの機能として「対人関係の練習」「活動性の維持」「日常的な相談の場」「並行する個人相談」「身近な関係性」「葛藤の再体験」「安全な基地」「ドロヅプアウトの防止」等の概念が析出された。また、プログラムの効果・回復としては、「自意識からの解放」「覚悟」等の概念が析出された。
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