研究概要 |
平成20年5月より追跡調査を再開し、21年3月末現在1,261人(男性494人、女性767人)の追跡を完遂した(追跡率87%追跡不能理由…転居・死亡・受診拒否など)。その1,261人中、平成11年のべースライン時における正常血圧者814人のうち、222人が7年後高血圧症に進展しており(*血圧≧140/90mmHgかつ/または降圧薬内服中であった場合を高血圧と規定)、血漿ET-1レベルと高血圧進展との間には弱い関連傾向(p=0.074)を認めた。そこで我々は、改めて対象者を血漿ET-1レベル別に四分割し(Ql:0.3-3.7,Q2:3.8-4.7,Q3:4.8-5.6,Q4:5.7-18.7pg/ml)、再解析を行った。その結果、ET-1レベル低値の三群間では、高血圧進展リスクの明らかな差は認められなかったことから、そのET-1レベルの低い三群(Q1-3)を一群に統合し、ET-1最高値群(Q4)と比較・検討した。その結果、年齢・性で補正したET-1低値群に対する最高値群の高血圧進展へのオッズ比=157(95%CI,1.09-2.27)であった。さらにその他の関連因子(年齢、性、血清クレアチニン、BMI、空腹時血糖、空腹時インスリン)で補正を重ねても、高いオッズ比が得られた(1.87,95%C.I:1.24-2.81)。 以上より、より高い血漿ET-1レベルは将来の高血圧進展の予知因子となると考えられ、今後も引き続き追跡調査を継続する。
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