研究概要 |
看護労働は夜勤交代勤務,人手不足などによる長時間過密労働を背景として負担が大きく,医療事故や早期退職が問題となっている。そのような労働条件下においても慢性的な疲労を感じない看護師は、休息を上手にとることで,慢性疲労を回避していると考えられた。そこで看護師の慢性疲労回復の背景にある条件を状況要因および特性要因から採った。 調査対象とした循環器専門病院において2交代の夜勤交代勤務に従事する全看護師にアンケートを配布して慢性疲労の程度(蓄積疲労徴侯調査票;CFSI)とともに、状況要因として年齢、配偶者と未就学児有無、勤続年数を、特性要因としてマスラックバーンアウトインベントリー(MBI)、平日や休日に楽しんで行っている活動の有無をたずねた。そのうち欠損値を除く149人分を解析対象とした。 CFSIは気力減退、一般的疲労感、身体不調、イライラの状態、労働意欲の低下、不安感、抑うつ状態、慢性疲労の8特性からなり、慢性疲労の訴え率によって対象を四分位法で4群に分けた。群間で年齢、勤続年数には差がみられなかった。未就学児をもつ看護師は2人だけであり、配偶者のいる看護師も少なかったためその影響についての詳細は不明であったものの、本調査における看護師の慢性疲労の高低と状況要因との関係はほとんどみられなかった。 特性要因は、慢性疲労が高い群ほどCPSIのその他の特性や、MBIの3要因のうち情緒的消耗、脱人格化の訴えが高く、行動特性として「楽しんで行っている活動がある」と回答した割合が、とりわけ屋外での活動において、平日も休日も低かった。以上のアンケート調査結果を検証するために、現在はさらに調査対象看護師の具体的な労働・生活状況を生活時間調査によりに調べている。
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