研究課題
研究実施の概要1.研究の目的日本人とベトナム人のメタボリックシンドロームの頻度を比較し、さらにアディポサイトカイン量が病態に及ぼす影響を比較検討し、予防策を打ち出す。そして、メタボリックシンドローム診断に人種を超えて普遍的に簡便に測定可能なバイオマーカーを見出すことを目的とする。2.平成20年度の実施状況(1)研究実施体制の整備ベトナムにおける糖尿病やメタボリックシンドロームの疫学調査の調査地域をベトナム首都地域(Hanoi)及び農村地域(Thai Binh省)に決定し、本調査前のパイロットスタディをそれぞれ150名ずつ実施した。(2)疫学調査の実施・検体の処理及び保存対象 : パイロット調査後に、ハノイ地域から層化無作為抽出法により対象者を1,516名選定し、調査対象とした。調査 : 対象者には書面で同意を得た上で、空腹での採血(全血5ml)と質問票での調査、身体検査(身長、体重、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径、収縮期および拡張期血圧測定)を実施した。採取した血液は、速やかに血清と血漿に分離し、バクマイ病院で血糖値、中性脂肪、HDLコレステロールを測定後、来年度のバイオマーカー測定に備えて-20度の冷凍庫に一時的に保管している。調査後、データセットを作成した。(3)平成20年度の研究結果ハノイでのパイロット調査の結果では、メタボリックシンドロームのリスク要因重積者(ウエスト以外)の頻度は男性62.5%、女性49.4%であった。日本人では男性28.7%、女性14.1%であり、日本人よりかなり高い頻度であった。ROC曲線によるメタボリックシンドロームのリスク重積者を感度と特異度共によく拾い上げることのできるウエスト周囲径は、男性82cm、女性72cmであった。これは日本人を対象として同様の解析を行った場合(男性85cm、女性75cm)よりも低い値であることが明らかになった(ASEAN Congress of Cardiology, 2008)。
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