研究課題
1. 研究の目的日本人とベトナム人のメタボリックシンドロームの頻度を比較し、さらにアディポサイトカイン量が病態に及ぼす影響を比較検討し、予防策を打ち出す。そして、メタボリックシンドローム診断に人種を超えて普遍的に簡便に測定可能なバイオマーカーを見出すことを目的とする。2. 平成21年度の実施状況(1) 疫学調査の実施・検体の処理及び保存、血液分析対象:パイロット調査後に、タイビンから層化無作為抽出法により対象者約1,900名選定し、調査対象とした。調査:対象者には書面で同意を得た上で、空腹での採血(全面5ml)と質問票での調査、身体検査(身長、体重、ウエスト周囲径、ヒップ周囲径、収縮期および拡張期血圧測定)を実施した。採取した血液は、速やかに血清と血漿に分離し、バクマイ病院で血糖値、中性脂肪、HDLコレステロールを測定した。昨年度調査を行ったハノイでの検体とともに日本に検体を輸送し、アディポネクチン、CRPの測定を行った。(2) 平成21年度の研究結果メタボリックシンドロームのリスク要因重積者(ウエスト以外)の頻度はハノイでは男性34.0%、女性38.5%であり、タイビンでは男性30.7%、女性38.0%であった。日本人では男性28.7%、女性14.1%であり、日本人よりかなり高い頻度であった。ROC曲線によるメタボリックシンドロームのリスク重積者を感度と特異度共によく拾い上げることのできるウエスト周囲径は、ハノイでは男性82cm、女性73cm、タイビンでは男性76cm、女性73cmであり、ベトナム国内でも地域による違いがみられた。これは日本人を対象として同様の解析を行った場合(男性85cm、女性75cm)よりも低い値であることが明らかになった(World Diabetes Congress, 2009)。メタボリックシンドローム診断に対するアディポネクチンの有用性を検討したところ、ハノイ、タイビンいずれの地域においても同様に有用であることが示された。
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