【目的】形態所見が乏しい敗血症性、アナフィラキシー、神経原性ショックの剖検診断には困難が伴うことがしばしば経験される。ショックが法医鑑定と密接な関係にあること、また診療関連死の鑑定の増加をも念頭に置くと、剖検診断に適した新たなショックバイオマーカーの検索は急務と考えられる。本研究では循環血液量減少性、心原性、敗血症性、アナフィラキシー、神経原性ショックについて、動物実験モデルおよび剖検例を用いて血管におけるトランスクリプトーム解析を行い、ショック診断に有用と考えられる候補遺伝子を検出する。 【方法】循環血液量減少性ショックには大腿動脈穿刺モデルを、アナフィラキシーショックモデルにはalbumin感作モデルを採用する。健常ラットおよび各ショックモデルごとに胸部大動脈、大腿動脈、上大静脈、心臓、肺、腎、肝、脳を採取し、SuperSAGE法を用いた遺伝子発現動態の網羅的解析を行う。 【結果】循環血液量減少性ショックモデル、アナフィラキシーショックモデルを作成し、血管を含む各種組織の採取を行った。胸部大動脈についてはSuperSAGE法におけるtag作成を行った。 現在、sequence作業を行っており、候補遺伝子の検出に至ればreal-time quantitative PCRによる再現性確認実験に移行する。また他の血管組織については、次年度に網羅的遺伝子発現解析を行う。
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