過敏性腸症候群の患者および健常者に対して、より臨床の現場に準じた新たなストレス負荷試験(画像負荷、ウィスコンシンカードソーティングなど)を作成し、その時の脳機能を、最新の脳画像技術であるfunctional MRIにて評価するとともに、大腸運動機能評価(大腸バロスタット検査)も同時に行うことで、脳腸相関(Brain-Gut interaction)をより科学的に明らかな病態として解明することを目的として研究を実行した。第一段階の仮説は便意逼迫といった症状による、不安状態、切迫状態を繰り返すうちに、(学習・条件付けとして)予期不安を生じるようになり、場面依存性のPTSDと似た状態を生じるというものである。本年度の研究実施計画としてストレス負荷プログラム及び付随システムの構築を目指した。ストレス負荷課題として、過敏性腸症候群特異的陰性情動刺激を考案し、その画像、音声、語句、動画の収集を、実際に撮影や、インターネット検索により行った。その多量の資料の中から、臨床的に刺激として成立するものを選択し、独自にコンピュータ・プログラミングにて負荷刺激の作成に取り組み、fMRIのタスクとして特殊なPresentationソフトを使用し、その作成に成功した。認知柔軟性の測定、葛藤状態の創成、強迫的状況を産出の実験的確実性を強化するべく、試行を繰り返し、本タスクについての論文を作成している。
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