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2009 年度 実績報告書

漢方薬による副作用発症機序とトランスポーターとの関連

研究課題

研究課題/領域番号 20790475
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

牧野 利明  名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (80326561)

キーワードグリチルリチン酸 / 甘草 / 偽アルドステロン症 / 有機アニオントランスポーター / ヒドロキンステロイド脱水素酵素 / グリチルレチン酸 / 漢方薬 / 副作用
研究概要

甘草を含有する漢方薬には、偽アルドステロン症という比較的頻度の高い副作用が知られている。その原因は、含有成分の代謝物グリチルレチン酸(GA)が腎尿細管上皮細胞内に存在する11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)2を阻害するためとされている。しかし、臨床報告によれば偽アルドステロン症発症患者の血中にはもう一つの代謝物3-モノグルクロニルグリチルレチン酸(3MGA)血中濃度が高いことが報告されているが、3MGAと偽アルドステロン症との関連は不明であった。ラット腎スライスおよび腎ミクロソーム画分に、各化合物とコルチゾールを添加し、コルチゾン生成量により11β-HSD IIに対する阻害活性を測定したところ、腎ミクロソームで各化合物の11β-HSD II阻害活性はGA、3MGA、GLの順だったが、腎スライスでは阻害活性の順番は逆転し、GL、3MGA、GAの順となった。腎スライス組織内への各化合物の分布を測定したところ、GL、3MGAには能動輸送的な取り込みは認められたもののGAでは認められなかった。腎尿細管上皮細胞に発現する有機アニオンを輸送するトランスポーターであるOAT1、OAT3およびOATO4C1をそれぞれ強制発現させたHEK293細胞を用いて各化合物の取り込み試験を行い、3MGAはOATl、OAT3、OATP4C1で、GLはOATP4C1で能動輸送されたが、GAはそれらの基質とはならなかった。GAと3MGAはアルブミン結合率が99%以上と高く、生体では単純拡散では腎組織内へは移行しにくくなるため、ミクロソーム画分でのGAの比較的強い11β-HSD II阻害活性が腎スライスもしくは生体内では起こりにくいものと推測され、甘草の副作用である偽アルドステロン症の原因となる化合物は、GAではなく、3MGAもしくはGLである可能性が高いことが多いに示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] グリチルリチンおよびその代謝物の腎における11β-HSD II阻害作用の比較2010

    • 著者名/発表者名
      上林理絵、牧野利明、井上勝央、水上元、大嶽信弘
    • 学会等名
      第130回日本薬学会年会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2010-03-29

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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