我々は2週間間隔のBrucella Abortusの6回反復投与(0.2ml/回)を行いCFSのマウスモデルを作成した。本モデルにより、CFSの病因、病態の解明及び漢方有効性を確認する目的で漢方薬(抑肝散)を投与した。海馬における神経の新生を免疫染色で確認、また同時に、MRIを用いて同部の形態的変化を観察した。さらに、抑肝散を投与し中枢神経系の各種サイトカインをPCRを行い変化を観察した。 BDNFと受容体の発現メカニズムを探るため、BDNF、その受容体、BDNFの転写因子pakIIIの発現局在を脳、内臓臓器で解析した。そしてBDNF蛋白、遺伝子発現および受容体のメカニズムを推定する手段として解析する。Brucella Abortus誘発CFSモデルにて、脳内BDNFと受容体がどう発現し制御を受けるかを解析し、漢方投与で脳障害が軽減されるかを検討した。 結果として、治療群において海馬でのアポトーシスを抑制し、神経再生を促したことが確認された。また、平成22年度の成果として同様のマウスモデルを用いた先の実験では、中枢神経系の解析を進め、葡萄やピーナツに含まれるポリフェノールの一種であり、抗老化遺伝子とされるSirt1の活性化作用を有するresveratol (RSV)を治療に用いた。 その結果、マウスモデルの海馬には構造的、機能的な変化が存在していたことがわかり、さらにRSV投与による疲労改善、細胞死抑制効果、神経新生誘導の可能性が示唆された。 この研究成果をBiol Pharm Bullに投稿し、同紙34(3)354-359 2011に掲載された。
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