黄連解毒湯とその構成生薬である黄〓がデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発マウス大腸炎を抑制することが報告されているが、他の処方での有効性は明らかではなく、黄〓など特定生薬を除いた処方での検討も報告がない。このモデルで数種類の漢方処方の抗炎症活性を検討すると柴苓湯でも腸管の短縮・ミエロパーオキシダーゼ活性・体重減少の有意な抑制を認めた。柴苓湯を構成する小柴胡湯と五苓散の各処方では抗炎症活性を示さず、柴苓湯の有効性は2処方の合方により発揮される可能性が示唆された。柴苓湯の黄〓一味抜き処方では抗炎症活性を示したが、柴胡の一味抜き処方では抗炎症活性が消失した。以上の結果からDSS誘発マウス大腸炎における柴苓湯の有効性が明らかとなった。またこのモデルでの柴苓湯の抗炎症作用に柴胡を中心とする生薬の組み合わせが重要である可能性が考えられた。
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