当初平成20年度終了予定であった臨床試験を予定通りに平成21年1月29日に終了、11例を登録し、9例で予定接種を完了した。9例中4例にSD (安定状態) 症例を認め、免疫学的な解析 (抗原特異的CD8+T細胞における細胞内サイトカイン染色) により、客観的反応を認めたSD症例において上記エピトープペプチド特異的CD8+T細胞にIFNγ産生を確認した。一部のPD (進行例) 症例を含む200日以上長期生存した症例においてはワクチン接種部位に発赤、腫脹、硬結反応を認めた。これらの所見から免疫学的な反応と臨床効果は相関する可能性が示唆され、今後の免疫学的解析の意義は大きいと考えられた。さらに、平成21年度施行予定であった治療前後における末梢血中制御性T細胞数 (CD4+CD25+Foxp3+) の比較解析及び抗原特異的CD8+T細胞免疫反応の解析をすでに終了した。シクロフォスファミド投与前の末梢血中制御性T細胞数を100%とし、その排除効率を相対的に示した制御性T細胞阻害レベルを制御性T細胞排除の評価として用いた際、ワクチン投与終了後に制御性T細胞が低いレベルに抑制されるグループを認め、すべてのSD症例 (4例) がこのグループに含まれた。一方、PD症例では6例中1例のみに制御性T細胞阻害を認めたことから制御性T細胞阻害の程度と臨床成績が相関する可能性が示唆された。本年度は症例数を増やすと共に患者検体についてELISPOTアッセイ、血漿中サイトカイン、ケモカインの測定を含む免疫学的解析を施行する方針である。
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