研究課題
この度の研究は、腎機能あるいは生化学的マーカーなどと、冠動脈疾患におけるプラークの性状を主にintegrated-backscatter intravascular ultrasound(IB-IVUS)を用いて検討することである。今回の研究で、本年度には約100人の患者に対して冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention : PCI)を行う際に、血管内超音波検査を行った。既に行っている解析で、腎機能の指標である糸球体ろ過量と、プラークの性状に関しての関連があることが徐々に分かってきた。今後、このデーターに加えて、生化学的マーカーをあわせて解析し、さらに予後を組み合わせた解析を今後引き続いて行うこととなっている。平成21年度には論文を作成、発表できる予定である。これまでのところ、今回の研究について行った解析では本来の腎機能とプラークの関連のみならず、いくつかの成果が出ている。一つ目は、内服薬、特にスタチンとPCIを行う病変のプラーク性状について関連が発見された。その結果は次ページに示す論文に発表した。具体的には、スタチンを継続投与されていた患者では、PCIを行うような狭窄度の厳しい冠動脈内プラークにおいて、lipidの割合が少ないということであった。これは、元々スタチンを内服している患者がPCI中の事故が少ないということがかねがね報告されていたが、その機序を説明するものとして注目されている。二つ目は、メタボリック症候群のある患者が、冠動脈左主幹部のプラークでlipidが多いことを発見した。メタボリック症候群は、心血管イベントと深い関連があることが既にわかっているため、こちらに関しても国際学会(AHA)で発表時に多くの参加者から注目を集めた演題となった。このように、今回の研究は順調に経過しており、多くの成果を挙げている。
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Clinical Therapeutics 31
ページ: 64-73