研究課題
マウス下肢虚血モデルにおいて、磁性ナノ微粒子(MCL)を用いた三次元間葉系幹細胞(MSC)シートを作成し、虚血部位へ移植することによって、従来の細胞注入法に比べ有意な血流改善効果が示された。MSCシートからはVEGF、SDF-1等の血管新生因子の分泌が確認された。細胞をシートとして移植することにより、虚血部位を広範囲に覆うことができ、シートから持続的に分泌される血管新生因子がパラクライン効果として作用し、血管新生が誘導されることが示された。また、通常の培養法及び、シート作成時での培養上清中のVEGF濃度測定の結果、シート群においてVEGF濃度の増加が確認された(p<0.05)。磁性ナノ微粒子(マグネタイト : Fe_3O_4)がペルオキシダーゼ活性を有していることが示された。またMCLを取り込ませた間葉系幹細胞は、BSO(グルタチオン合成阻害剤)処理によるアポトーシスの割合がMCL非処理の間葉系幹細胞に比べ有意に減少した。以上の結果から、MCLを取り込ませることにより細胞内の活性酸素を除去し、アポトーシス抑制効果があるものと示唆される。ラット心筋梗塞モデルに細胞シート移植を行った結果、移植後4週目においてもシートの生着が確認され、心筋梗塞に対しても有効な治療法となり得ると示唆される。磁性ナノ微粒子を用いた細胞シート技術を用いることによって、平滑筋細胞と血管内皮細胞による2層の血管様構造のシート作成に成功した。今回得られた血管様シートを磁力によって巻きつけることにより、細胞のロスも少なく均一な管状構造を形成することが可能である。従来のTisue engineering技術では構築不可能であった複雑な構造と機能を持つ三次元組織の構築も可能であると考えられる。
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