本申請研究では、TRPC阻害薬の心肥大・心不全改善作用の検討およびその分子機序の解析と、そのデータを基にしたより効果的かつ選択的なTRPC阻害薬の開発のためのデータの収集を行なうことを目的とする。(1)TRPC阻害薬のGC-Aノックアウトマウスに対する作用の検討 : 高血圧性心肥大モデルであるGC-Aノックアウトマウスにおいては一部のTRPCチャンネル発現が心室において亢進している。また我々はAMPのGC-Aを介したPKG活性化がTRPC6をリン酸化し、そのイオンチャネル活性を強力に抑制することを見出した。そこでTRPC阻害薬であるBTP-2をこのGC-Aマウスに投与し、その作用を解析すしたところ、BTP2は血圧には影響を与えず、心肥大を抑制した。また他の心肥大もデルでも同様であることを確認するためにアンジオテンシンIIによる心肥大モデルにおいても同様のBTP2投与を行なったところ、やはり心肥大を抑制した。(2)マイクロアレイによるTRPC標的遺伝子群の網羅的解析 : 上記結果を受け、現在BTP2投与の有無による遺伝子発現の変化をDNAマイクロアレイ解析にて検討中である。
|