平成20年度までにラットの心筋虚血再潅流モデルにおける水素の作用について、その効果、より効率的な手法、メカニズムについての検討を行った。その上で平成21年度には更なる詳細なメカニズムについて検討を行っていった。従来まで想定されていた以外にも何らかの機序が存在する可能性が高く、その検討は水素投与による抗酸化作用のみならず、再潅流療法によって引き起こされる酸化ストレスの病態解明に重要な役割を担う可能性が多分にあると思われた。 ラットの心筋虚血再潅流モデルにおける、より詳細なメカニズムの解明を目指す。神経細胞と同様な、ヒドロキシラジカルなどの酸化ストレスを介する経路の検討のみならず、その他の機序が存在する可能性があり、メタボローム・プロテオーム解析などより網羅的な解析を現在行っているところである。 平成21年度にはこれまでの水素ガス投与に関して新しい方法の開発を行ってきた。今までは水素ガスの供給は水素ボンベを使っていたが、水素吸蔵金属を用いた新しい方法を検討し始めた。また、ヒトへの臨床応用をめざして、犬における心筋虚血再灌流モデルでの水素ガスの検討を進め良好な結果を得ている。今後、マーモセットなどより高等動物での効果の検討、より効率的な投与法の検討を行うため、現在準備中である。また同時に人体への水素投与は)無害であることが確認されているが、虚血再潅流モデルにおける安全性の確認も行い、なるべく早期のヒトへの臨床応用につながるための臨床研究について、現在倫理委員会に申請中であり、可及的速やかに臨床試験に移りたいと考えている。
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