今年度は、高ホモシステイン血症モデルの作成および、血管機能解析を行った。 1.高ホモシステイン血症モデルの作成 CBSホモ欠損マウス(CBS^<-/->)は順調に成長しない、もしくは短命であることから、ヘテロ欠損マウス(CBS^<+/->)の高メチオニン・低葉酸食負荷モデルを使用した。CBS^<+/->マウスおよびCSE^<-/->マウスは離乳時より特種食を始めた。飲料水は常時飲めるようにし、コントロール群には、葉酸7.52g/kg、L-メチオニン4.0mg/kgの特種食を与え、高メチオニン群には、コントロール群の食事にL-メチオニンを0.5%追加した。この特種食摂取を8週間行い、その後、マウスの血漿中ホモシステイン濃度をHPLC蛍光法にて測定し、理想とするコントロール群と、高ホモシステイン群を作成した。 2.Organ chamberによる血管拡張能の検討 特種食を与えた、CBS^<+/->マウスおよびCSE^<-/->マウスの大動脈リング(3-4mm)を酸素化したKrebs bufferで満たしたOrgan chamberに装着する。フェニレフリンを段階的に投与して収縮能を観察した。フェニレフリンで血管を収縮させて安定後に、血管内皮依存性拡張反応をアセチルコリン、内皮非依存性血管拡張をDETA-NONOateを段階的に投与して観察した。結果、高ホモシステイン血症モデルはCBS^<+/->、CSE^<-/->マウスともに血管内皮障害を起こしており、高メチオニン、低葉酸負荷時に血中ホモシステイン濃度に影響を与える事が示唆された。 モデルの作成に時間を要し、代謝解析まで進むことはできなかったが、CSEノックアウトマウスを用いて高ホモシステイン血症モデルを作製する本研究は、きわめて新規性、独創性の高い研究であると言える。また、CBS^<+/->マウスと、CSE^<+/->マウスの高ホモシステイン血症モデルを機能的に比較する事は、高ホモシステイン血症の血管障害発症機序に迫る、有用性の高い研究であると考える。
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