研究概要 |
ラット大動脈構成細胞におけるジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)アイソザイムの発現を解析した。ラット大動脈平滑筋細胞(RASMC)にはα,ε,ζ型DGKのmRNA発現が確認され、免疫細胞化学によってα型は細胞全体に、ε型は細胞骨格状に、ζ型は核内にそれぞれ局在していることが明らかとなった。DGK_εはファロイジンとの二重染色によりストレスファイバーに発現し、セロトニンによる収縮刺激を与えると細胞質へと局在が変化することから、同アイソザイムが収縮制御に関わる可能性を示唆した。ラット大動脈血管内皮細胞(RAEC)において、免疫細胞化学によりDGK_γがゴルジ体に発現すること、さらにIL-1βで刺激するとDGK_γ mRNA発現が亢進することを明らかにした。本研究ではさらにIL-1βにより発現誘導されるcyclooxygenase-2(COX-2)のラット大動脈およびRASMCにおける発現解析を行った。COX-2は正常では主に外膜に発現が誘導されるが、内膜除去によって中膜にも発現することを明らかにした。これらの結果はDGKアイソザイムの血管構成細胞における機能解析をする上で重要な知見であり、DGKによるTRPチャネル分子制御機構を解明するうえで意義がある。
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