本研究課題において平成20年度は以下の3点を行った。1)対象症例の臨床情報と各種検体の集積。本研究の対象となる、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)投与を予定しており腫瘍組織にてEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌症例42例から血清と血漿を収集した。対処症例は全例EGFR-TKIが投与された。臨床情報は、全例から治療効果を、また42例中9例から奏効期間を得た。残りの33例は経過観察中であり、今後奏効期間を得ることができる。なお、現在も対象症例の集積を行っている。2)各種処理方法による血液検体から末梢血液中に循環している微量DNAの抽出。収集された血清、血漿からQIAmp DNA Blood Kit(QIAGEN)を用いてDNAを抽出した。抽出されたDNAは以下のEGFR遺伝子変異解析に用いた。なお今後新だに収集される検体について、同様にDNA抽出を行う。3)EGER遺伝子変異の解析。上記で抽出されたDNAからダイレクトシークエンス法とScopion ARMS法を用いてEGFR遺伝子変異の検出を行った。現在21症例分の解析が終了した。Scorpion ARMS法を用いた場合に、21例中12例から腫瘍組織から検出された遺伝子変異と同様の変異が検出された。ダイレクトシークエンス法では検出されなかった。 これまでに得られた結果は、米国癌学会など癌関連学会にて報告した。また、さらに症例の集積を進め、遺伝子変異検出結果と臨床情報をまとめた結果を論文発表する予定である。
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