本研究は(1)in vitroアスペルギルス性バイオフィルムモデル作成、および(2)in vivo慢性肺アスペルギルス感染症動物モデルを開発することを主な目的としており、本年度は(1)のin vitroアスペルギルス性バイオフィルムモデルの作成を主として行った。 アスペルギルス菌をサブロー寒天培地上で35℃で1週間発育させ、培地上から分生子のみを回収した。この分生子を1.0×10^7個/mlの濃度に生理食塩水で調整し、この分生子溶液にバイオフィルムの土台となる5mm大に切断した静脈内留置用カテーテルを浸し、チューブ上に37℃で120分自然接着さ巷た。次にこのチューブを1%YPD液体培地液体培地へ移動し、37℃で48時間培養することで、チューブ上にバイオフィルムを形成させることができた。 形成されたバイオフィルムの量はXTTアッセイで定量化が可能であった。(XTTアッセイにより、上記の様々な条件、すなわち分生子溶液の濃度、液体培地の種類と濃度、分生子のチューブへの接着時間、バイオフィルム形成までの培養時間を最適化することができた。) また形成されたバイオフィルムを電子顕微鏡で観察し、チューブの外壁、内腔にアスペルギルスによる網目状のバイオフィルムが形成されていることを詳細に観察することが出来た。 今後はこのアスペルギルスバイオフィルムが形成されたチューブを、マウスの気管支内に挿管・留置することにより、最終的な目標であるin vivo慢性肺アスペルギルス感染症動物モデルの開発を行う予定である。
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