研究概要 |
(目的)本研究は(1)in vitroアスペルギルス性バイオフィルムモデル作成、および(2)in vivo慢性肺アスペルギルス感染症動物モデルを作成することを主な目的としており、本年度は(2)の慢性肺アスペルギルス感染症動物モデルの作成を主として行った。 (方法)昨年度の研究(1)により得られた成果による方法で、in vitroでプラスチックチューブ上にアスペルギルス性バイオフィルムを作成した後に、このチューブを麻酔下でマウスに経気管的に挿管・留置した。 アスペルギルスは一般的に弱毒性であるために、より毒性の強い株を用いるために、成長速度、およびエラスターゼ活性の高い株を臨床株の中から選別した。 またマウスは一般的にアスペルギルス感染に対して抵抗性を示すために、複数種(ICR, Balb/c, C57/BL6, DBA)のマウスに感染を試み、この中で最も良い感受性を示したDBAマウスを感染に用いた。 (結果)アスペルギルスバイオフィルムチューブを感染させたマウスのうち、約4割が経過観察中(4週間)に死亡した。生存したマウスの肺を病理学的に検討したところ、末梢気道内に菌塊の形成が確認できた。 (まとめ)一般的にアスペルギルスは弱毒性であるために、免疫正常のマウスに感染させても数日で肺内から排除されてしまう。今回新たに開発したアスペルギルスバイオフィルムチューブを留置による感染により、マウス慢性肺アスペルギルス症モデルを作成することが出来た。
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