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2009 年度 実績報告書

非定型抗酸菌・レジオネラ菌感染症に対する肺コレクチンの生体防御機構と臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 20790574
研究機関札幌医科大学

研究代表者

有木 茂  札幌医科大学, 医学部, 助教 (80464478)

キーワード自然免疫 / 肺コレクチン / 細胞内寄生菌
研究概要

肺コレクチン(SP-AおよびSP-D)はコラーゲン様の構造を有するC型レクチンであり、呼吸器における生体防御において重要な役割を果たしている。本研究課題の目的は、レジオネラや非定型抗酸菌といった細胞内寄生細菌に対する肺コレクチンの生体防御機構を明らかにすることであり、本年度は非定型抗酸菌に対する肺コレクチンの生体防御機構に焦点をあてて研究を行なった。肺コレクチンは、濃度依存性、Ca^<2+>依存性に非定型抗酸菌に結合した。SP-Aは菌体表層に存在する脂質成分を、SP-Dはリポアラビノマンナン(LAM)をそれぞれ認識することが明らかとなった。表面プラズモン共鳴センサーを用いた解析では、SP-DとLAMの結合の解離定数は10^<-9>M程度であり、肺コレクチンは非定型抗酸菌と強固に結合すると考えられる。コレクチン存在下で非定型抗酸菌を培養したところ、SP-Aは非定型抗酸菌の増殖を阻害した。SP-Dも増殖抑制活性を示したが、その活性はSP-Aと比較すると非常に弱かった。一方、非定型抗酸菌に対する凝集活性を観察すると、SP-Dが低濃度で菌体凝集を引き起こしたのに対して、SP-Aは高濃度でも菌体凝集を引き起こさなかった。SP-AとSP-Dのキメラ体を用いた解析から、菌体凝集にはSP-Dのレクチン活性の特異性が重要であるが、より効果的に菌体を凝集するためにはSP-Dの立体構造が重要であることが明らかとなった。以上の結果は、肺コレクチンが非定型抗酸菌表層に存在する別々の分子を認識することで、増殖抑制、菌体凝集というそれぞれの機能を発揮し、非定型抗酸菌を感染局所に封じ込め、感染の拡大を防いでいることを示唆している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Pulmonary collectins protect macrophages against pore-forming activity of Legionella pnenmophila and suppress its intracellular growth.2010

    • 著者名/発表者名
      Sawada K., et al.
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem. 285

      ページ: 8434-8443

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mutational analysis of Cys^<88> of Toll-like receptor 4 highlights the critical role of MD-2 in cell surface receptor expression.2009

    • 著者名/発表者名
      Nishitani C., et al.
    • 雑誌名

      Int.Immunol. 21

      ページ: 925-934

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mannose binding lectin and lung collectins interact with Toll-like receptor 4 and MD-2 by different mechanisms.2009

    • 著者名/発表者名
      Shimizu T., et al.
    • 雑誌名

      Biochim.Biophys.Acta 1790

      ページ: 1705-1710

    • 査読あり
  • [学会発表] 非定型抗酸菌に対する肺コレクチンの生体防御機構2009

    • 著者名/発表者名
      有木茂, 他
    • 学会等名
      第82回日本生化学会大会
    • 発表場所
      兵庫県、神戸
    • 年月日
      2009-10-24
  • [学会発表] レジオネラ菌に対する肺コレクチンの生体防御機構2009

    • 著者名/発表者名
      有木茂, 他
    • 学会等名
      日本生化学会北海道支部第46回例会
    • 発表場所
      北海道、旭川
    • 年月日
      2009-07-17
  • [学会発表] Roles of pulmonary collectins in host defense against Legionella pneumophila infection2009

    • 著者名/発表者名
      Ariki S., et al
    • 学会等名
      Experimental Biology 2009
    • 発表場所
      New Orleans, USA
    • 年月日
      2009-04-19

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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