本研究では、既に申請者らのグループが構築した肺炎球菌によるマウス重症化肺炎モデルを用いて、1) 肺炎球菌およびその莢膜型に関わる疾患感受性遺伝子を特定し、2) 重症化機序に関わる責任遺伝子(群)の役割を解析することを目的としている。これまでに(1)連鎖解析に使用する交配マウス種を決定(C57BL/6、CBA/JN)し、(2)F1およびF2マウスを作出して感染実験を実施し、肺炎球菌感受性・抵抗性の存在比(60:190)から、本疾患は単一遺伝子によるものである可能性が非常に高いことを見出している。さらに(3)責任遺伝子座の絞り込みに成功し、本結果とも合わせて(4)網羅的遺伝子発現解析を実施したが、責任遺伝子の特定には至らなかった。そこで上記(3)に関して、さらなる絞り込みを実施することを目的として、各マウス種のマーカーとなるSNP(Single Nucleotide Polymorphism)をPCR法により検出することによって、さらなる連鎖解析を実施した。第1染色体上の特定の位置に対して約20種類のSNPマーカーを使用して責任遺伝子の絞り込みを行った結果、責任遺伝子の存在範囲を絞り込むことができた。今後、絞り込まれた範囲に存在する遺伝子に関して、シークエンスを含めた詳細な解析を実施する予定である。これとは別に、CBA/JNに対して遺伝的背景が非常に近いにもかかわらず、明らかに疾患感受性の異なるマウス種(CBA/J)を選別することができた。上記知見とも合わせて本マウス種を用いることにより、より効率よく比較解析を実施できるものと期待している。
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