我々は、『EPCは腎不全の病態進展に重要な役割を持ち、高機能EPC導入療法は腎不全病態改善に効果がある』という仮説をたて、以下の三つの目的をかかげ、研究を遂行している。 目的1;骨髄選択的IP欠損の腎不全病態への影響 骨髄選択的IP欠損マウスモデル(=EPC機能低下モデル)では、腎不全の病態が増悪するか? 目的2;骨髄選択的IP欠損・腎不全モデルにおける正常EPC投与の影響 骨髄選択的IP欠損マウスでの腎不全増悪は、単離wild EPCを添加することにより解消するか? 目的3;腎不全病態への高機能EPC投与の影響 高機能EPCを添加することにより、著明な腎不全病態の改善効果が認められるか? 21年度は、20年度に続き、特に目的1を中心に実験を行ってきた。IP欠損マウス由来の骨髄細胞を用いて、骨髄移植マウスを作成。フローサイトメトリー解析などから95%以上の骨髄がdonor由来のものに置換していることを確認。腎動脈虚血再灌流モデル、尿管結紮モデル、腎摘出モデルの三系統のなかで、まず腎動脈虚血再灌流モデルにおいて、血清クレアチニン値をwild骨髄細胞移植群との比較検討したところ、骨髄IP欠損モデルにおいて、血清クレアチニン値が高値を呈する傾向を見出した。今後、虚血条件の検討や、さらに実験動物数を増やすとともに、その形質変化の機能解析実験を行い、さらには尿管結紮モデル、腎摘出モデルにおいても検討を進めてていく予定である。
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