研究概要 |
近位尿細管上皮細胞におけるアルドステロン、コルチゾールなどのステロイドホルモン作用、特にエンドサイトーシスが介在する可能性についての基礎的な検討を行った。まず、各種近位尿細管由来細胞株で核内ステロイドホルモン受容体MR, GRの発現を検討した。各細胞株には内因・性のMRおよびGRが発現していることが確認され、これらの細胞株がステロイドホルモンに応答する可能性が考えられた。また、アルドステロン・コルチゾール応答遺伝子の一つであるSGK1の発現が各細胞株にてタンパク質レベルで確認された。SGK1の発現は、腎障害・腎機能に関わるレニンーアンジオテンシンーアルドステロン系(RAAS)構成因子のアンジオテンシンII(AngII)によりメガリンと同様に調節されることが新たに確認された。RAASに拮抗的な相互作用を示すインスリンシグナルとの関連を含め、転写レベルだけではなくSGK1のリン酸化によるシグナル伝達などSGK1を指標として上流・下流シグナルが近位尿細管上皮細胞の生理的作用・病態寄与をいかに調節するのかを解明する上で重要な知見であると考えられる。 近位尿細管において、糸球体濾過タンパク質をエンドサイトーシスにより再吸収することに関与する受容体メガリン・キュビリンとそのアダプタータンパク質Dab2は、近位尿細管由来細胞殊であってもその発現の有無・量に大きな差があることを確認した。メガリンによるエンドサイトーシス機構を解明する過程で、メガリンがDab2を介してMYH9と相互作用することを見出した
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