本研究ではURAT1を1つの輸送体分子としてだけ考えるのではなく、それに伴う機能調節タンパク質の複合体、つまり腎臓尿酸輸送分子複合体として考え、その機能調節機構の解明を目的とする。特にトランスポーターと細胞内支持タンパク質PDZK1のPDZ結合のリン酸化による動的制御機序の解明を目的とする。よって、本研究は、尿酸輸送機能制御の解明を目指し(1)腎臓における尿酸輸送分子複合体の解明と(2)細胞内支持タンパク質PDZK1のPDZ結合のリン酸化による動的制御の解明の2つの大きな目的から構成される。前年度は特に(1)を重点的に行った。当該年度は(1)を引き続き行うと共に(2)を実施した。以下に詳細を記述する。 PDZK1を介した分子集積・相互作用の解明。URAT1と結合する足場タンパク質PDZK1を介した機能の異なるトランスポーターURAT1とOAT4の分子集積・相互作用の解明を目指しFRET法を用いて、In vivoでの解析を行った。URAT1とOAT4とのFRET現象の解析をPDZK1の存在下・非存在下で行った結果、PDZK1の存在下において、有意なFRET現象を観測することができた。また、免疫沈降法を用いて、PDZK1の存在下・非存在下でのURAT1とOAT4の共沈量を比較した結果、PDZK1存在下において、有意な共沈量の増加がみられた。本研究において、異種のトランスポーターが足場タンパク質であるPDZK1を介して分子集積していることを明らかにした。また、PDZK1のリン酸化によってURAT1との結合が減少または無くなる結果を得た。以上により、上述した分子集積にはリン酸化が関与することを示唆した。
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