今回我々の施行する非放射性標識法によるin situ hybridizatiorn法は腎生検組織を用いては1993年に当施設が世界で初めて成功したものであり、これまでも数多くの報告を行ってきており、国内および海外での評価も高い。さらに今回はパラフィン組織を用いてin hybridization法をおこなう予定であり、パラフィン組織の利点である組織形態の保持を最大限利用して局在を今迄以上に詳細に検討する事が可能である。腎臓における線維化形成にEMTが関与している可能性は実験動物モデルでは今までにいくつかの報告があるが、ヒトの腎組織を用いたEMT、特に転写因子の関与についての検討はいままでの所皆無である。今回の検討でこれら転写因子の蛋白ならびにInRNAの発現の相違や局在が明らかになれば、慢性進行性腎疾患における腎繊維化の機序の解明につながる可能性がある。
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