研究課題
本年度は筋萎縮性側索硬化症や多発性硬化症をはじめとする神経炎症性疾患に対するSema4D阻害療法の可能性を実験的自己免疫性脳脊髄炎(experimental autoimmune encephalomyelitis, EAE)を用いて検討した。PLPペプチドと完全フロイントアジュバントで免疫したSJLマウスに免疫後9日以降に抗Sema4D抗体を投与したところ、EAEは有意に改善した。さらにEAEの脊髄病巣において免疫組織染色によりPlexin-B1の発現を検討したところ、ミクログリアに高発現していることが明かになった。またPlexin-B1欠損マウスに野生型マウスの骨髄移植を行って、中枢神経系のみにPlexin-B1が欠損した骨髄キメラマウスを作成し、MOGペプチド反応性T細胞の移入によりEAEを発症させたところ、野生型マウスに野生型骨髄を移植した対照のキメラマウスに比べて有意に軽症であった。以上より、抗Sema4D抗体はPlexin-B1を介したミクログリアの炎症機転を抑制していることが示唆された。今年度の成果によりSema4D-Plexin-B1経路の阻害が多発性硬化症や筋萎縮性側索硬化症に対する新しい治療標的となりうることが明らかとなった。
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