研究概要 |
平成21年度は、平成21年度研究実施計画に基づき、ALSの分子生物学的,病理組織学的にその病態を明らかにすることを目的に、引き続きトランスジェニックマウス組織の組織学的検討(2)骨髄間質細胞の分離培養に対する技術の安定化を中心に研究を進めた。 トランスジェニックマウス組織の組織学的検討では、更に例数を増やし一般染色(Hematoxylin-Eosin染色、Kluver-Barrera染色)に加え、免疫組織化学的には、抗GFAP抗体、抗Ibal-1抗体、抗SOD-1抗体を用い、病理学的経時的変化を明らかにした。結果としては、昨年同様に(1)神経細胞脱落は発症後に明らかになる。(2)変異SOD1は各日齢の神経細胞に発現。(3)細胞内封入体は発症のかなり前(86日齢)から出現していた。これらの結果は、このモデルマウスが不偏的な変化を示すものであることが明らかとなり、今後もALSの解析の上で十分価値のあるモデルであることが証明された。また、結果としては運動症状の発症以前から組織学的には神経細胞に明らかな異常所見を呈しており、発症は神経細胞機能障害による可能性が高いことを示している。このことは、ALS発症のメカニズムを考える上で重要な所見と考えられる。また、次年度以降、骨髄間質細胞を移植するタイミングを決定する際重要な結果と考えられ、今後の研究を進めていく上で非常に意義のある結果となった。 (2)骨髄間質細胞の分離培養に対する技術の安定化移植に用いる骨髄間質細胞の分離培養の技術習得に費やし、安定化させた。
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