本研究ではCIDPにおけるTh17細胞の病態への関与およびその認識抗原の同定に関する検討を行った。蛍光ビーズを用いたフローサイトメトリー法によるCIDP患者および健常者における髄液サイトカイン・ケモカインの多項目測定およびその比較検討を行い、IL-17に加えて、IL-8およびMCP-1の上昇を見出した。この結果からCIDPにおいてIL-8/IL-17系が亢進している可能性が示唆された。一方、一部のCIDP患者ではIL-10の測定感度以下の低下を認め、CIDPにおいてはTh17細胞系の亢進に加えて炎症制御性T細胞系の低下がみられた。これらの結果からTh17細胞や制御性T細胞などのヘルパーT細胞分画のバランスの破綻が病態に関与している可能性が考えられた。さらにCIDPの末梢血を用いたフローサイトメトリーによる解析を行い、無刺激下においてはCIDP患者、健常者ともにTh17細胞を示唆するIL-17産生細胞は認めなかった。末梢血単核球における細胞内サイトカイン測定においても、IL-17陽性細胞はCIDP患者、健常者ともに認めなかった。しかしPMAおよびIonomycinでの刺激下でのフローサイトメトリーによる解析では、一部のCIDP患者においてCD4陽性IL-17陽性リンパ球の増加を認め、CIDP患者末梢血においてTh17細胞を同定した。これら結果からTh17細胞がCIDPにおいて存在し、その複雑な病態に寄与している可能性が示唆された。
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